十人十福

Vol.03

「スポーツ」と「福祉」、
双方の学びを活かして
健康な身体づくりに貢献したい。

森本 拓実さん

関西学院大学大学院 人間福祉研究科 1年生

人間科学科 2022年卒業

人間科学科在学中は、高齢者を対象とした「加圧トレーニング」の、学生アスリートへの応用について研究。卒業後は大学入学時より志していた関西学院大学大学院 人間福祉研究科に進学。博士課程への進学を視野に日々研究に励んでいる。

#ゼミ#大学院#部活動

スポーツ経験を通して芽生えた探究心が、研究の原動力に。

小学校の頃から体操や水泳を習い、中学校から本格的に陸上を始めるなど、昔からスポーツに親しんできました。しかし、運動にあまり自信がなかった私は、技能の向上を目指して試行錯誤する中で身体の仕組みや練習方法に注目。いつしか学問として理解を深めたいと考えるようになりました。高校生になると、興味を追求するため大学院への進学を視野に入れて大学の情報収集を開始。スポーツ科学が学べる人間福祉学部に出会い、進学を決めました。受験生だった当時、関西インカレで7連覇を果たし、五輪アスリートを輩出していた本学の陸上競技部の存在も決め手の一つです。
「こころ」と「身体」の両面を学ぶ人間科学科。私は「身体」分野の授業を中心に履修し、健康や運動、さらに発展した心理学や運動学など、高度で幅広い知識を得ました。スポーツだけでなく、福祉全般の分野にも触れながら「人間」について多角的に学べるのが本学部の特長です。入学前はぼんやりとしていた「福祉」という分野でしたが、多種多様な学びを通して、健常者だけでなく、児童や障害者、高齢者など社会的弱者と呼ばれる方たちにも目を向け、人々の生活の質を上げるために必要なサポートを考えることが必要であると学びました。

大学での学びを実践に活かすことで、自身の成長を実感。

多種多様な領域を楽しく学んできましたが、特に印象に残っているのは、現在研究室でもお世話になっている河鰭先生が担当している「運動生理学実験実習」「スポーツバイオメカニクス実験実習」です。この授業では、機械を用いて力の入り方や骨密度を測定したり、超音波を用いて自分の筋肉量を調べたりと、3年生の時から専用の実験器具を用いて人間の身体についてアプローチします。大学ならではの優れた施設や設備に囲まれながら行う実践的な学びを通して、専門性の高い内容に触れていることを実感しました。
学部での学びは、当時所属していた陸上競技部の活動にも活きました。例えば、身体のつくりに関する知識を自分なりにトレーニングや競技に反映することで、記録の向上につながりました。また、心理学の授業で得たメンタルに関する知識も大いに役立ったと感じています。どんなに優秀なトップアスリートでも気持ちが揺らいだり落ち込んだりすることを知り、部活動でナーバスになっても「みんな一緒なんだ」と気持ちを切り替えられるようになりました。

成長のもう一つの鍵は「陸上」。人との関わりの中で集団意識が育まれた。

陸上競技部では、競技力が向上しただけではなく、人間性も磨かれたと感じています。強豪校だからこそ、常に大学の名を背負っているという自覚が必要です。普段の学校生活はもちろん、試合等での移動の際には気を引き締め、自分の言動に一層慎重になるなど、強い責任感が身につきました。
また、3年生の秋からは部活動全体をまとめる幹部として跳躍種目のパート長を務め、部活動の運営やトレーニングメニューの考案を行いました。コロナ禍で今までのような練習やメンバー同士の交流ができない中、SNSを活用したり、ミーティングでは短時間で端的に伝える話し方を意識したり、さまざまな工夫を実施。定期的にオンライン会議を開き、幹部同士で意見を出し合いながら、部活動の在り方を模索していきました。陸上は個の競技力を高めるのが第一ですが、こうした経験を経て、自然とチームを意識した行動ができるようになったと思います。160人もの学生が所属する集団の中に身を置いた経験は、今後社会に出て多様な人々と関わるうえで大きな糧となるはずです。

人間科学科での多面的な学びを活かして、スポーツ界に貢献したい。

大学院に進学し、現在は河鰭先生のもと、陸上アスリートが実践しているトレーニングが小学生にも有効であるかどうかについて研究を進めています。児童期は身体づくりにおいて大切な時期。早い段階からトレーニングを経験できれば、年齢に伴う運動機能の低下を抑えられるだけでなく、身体を動かす楽しさを実感してもらえると考えました。また、早期のアプローチによって運動に対して興味を持ってもらうことで、スポーツ全体に活気がでるのではないかと考えており、日本ではまだまだ発展途上である陸上の競技人口増加に貢献できると思います。人間福祉研究科で、さらに有益な結果が得られるよう邁進していきたいです。
今後は、スポーツと福祉の両方の視点を取り入れ、トレーナーへの道も視野に入れながら研究を進めていきたいです。私は入学当初から将来取り組みたいことがありましたが、やりたいことが見つからず進路に迷われている受験生の皆さんも、高校とは全く異なる大学生活を通して新たな目標が見つかると思います。3つの学科の学びを横断しながら学べる人間福祉学部で、ぜひ自分の興味関心を突き詰めてください。