十人十福

Vol.04

学生時代のキャンプも今の仕事も“心のインフラ事業”。
これからも思い出づくりのお手伝いを。

三宅 咲さん

株式会社オリエンタルランド

人間科学科 2016年卒業

中学時代からキャンプや野外教育に関心があり、専門分野とする甲斐知彦教授から学びたいと人間科学科に入学。小学生向けのキャンプを企画・運営した際の充実感から、人の思い出づくりに関わりたいと思い、株式会社オリエンタルランドに就職。現在はエンターテイメント本部に所属し、テーマパーク内で開催される屋外ショーの運営に携わる。

#ゼミ#仕事

キャンプでの教えを普段の生活に生かす「一般化」を学ぶ。

通っていた中学・高校が野外教育に力を入れていたので新入生歓迎キャンプや無人島キャンプなど野外活動をする機会が多く、参加するのはもちろん、後輩たちのキャンプにリーダーとしてお手伝いに行くことも好きでした。人間科学科には野外教育を専門分野とする甲斐知彦教授がいらっしゃると聞き、入学。ゼミも迷わず甲斐ゼミを選びました。
甲斐先生の授業では、キャンプでの教えを普段の生活にも活かしていく「一般化」を繰り返しました。例えば、キャンプでは物の配置により人の動線をコントロールします。食事の時には、どこに食器を置いて、どこに食べ物を置いて、どこに手洗い場があれば、スムーズに動けるかを考えて物をレイアウトします。このようなキャンプでの教えを、キャンプ以外の場面でも取り入れるのが「一般化」です。この考え方を学ぶまでは、キャンプで学んだことはキャンプでしか活かせないと思っていましたが、そうではなく、頭の中で横につなぎ、暮らしのさまざまな場面に広げて考えられるようになりました。
的確に物を配置したり手順を示したりすることで人の動きをコントロールする観点は、今の仕事であるテーマパークのショー運営にも活きていると感じます。キャストにどう動いてほしいかを考え、最初にタイムスケジュール表を掲示し、次にコスチュームを配置し、着替える場所をその隣に設置するなど、効率的かつ適切な運営を心掛けています。

非日常体験を提供する素晴らしさに気付き夢の国に挑戦。

甲斐ゼミのメインイベントは「309(みわく)キャンプ」です。地域の小学3・4年生を対象とした1泊2日のキャンプで、企画から広報、当日の運営まで、全て学生が担当します。子どもたちにとって意味のあるキャンプにするためにはどうすればいいのか、同期のゼミメンバーと話し合いながら中身を練り、実現までこぎ着けるのは大変でしたが、当日を迎えると、それまでの苦労は吹き飛びました。参加している子どもたちはみんな本当に楽しそうで、最初と最後では顔つきが全然違ってきます。そんな姿を目にすると大きな充実感を得ることができて、どれだけ準備が大変でも、非日常体験を提供するのはすごく素敵なことだと心から思いました。
この経験から、誰かの思い出づくりに携わる仕事がしたいと考えるようになりました。テーマパーク事業を通して、たくさんのゲストの方に非日常体験を提供できるオリエンタルランドへの就職は大きな夢であり、挑戦でしたが、ちょうど私が入社する年にテーマパークのオペレーション業務に特化した職種ができたことも後押しとなり、果敢にチャレンジ。ご縁があり、思い出づくりの最前線で働けることになりました。

安全を担保しながら、いかなる時もショーを届けるという気持ちで。

今はエンターテイメント本部ショー運営部に所属し、テーマパークのショーの運営業務を担っています。担当しているショーの実施判断や、ショーを行うためのマネジメント(人・モノ・カネ・情報の管理)が主な業務です。また、私の担当するショーは季節ごとに新しいショーを実施するため、プロデューサーや演出家から「今度の春のシーズンはこういうショーをしたい」といった話を受け、スタッフやキャストが一堂に集うリハーサルの日程調整やリハーサル当日の進行なども行います。
ゲストの方にはいつ来ても楽しんでいただきたい。そのため、年間365日できる限りショーを実施することを目指しています。天候によっては安全の観点から通常のショー実施は難しいときもありますが、できるだけ来られた日によって差がないものを提供できるよう普段から準備をしています。

“心のインフラ事業”に携われる幸せを日々感じて。

通勤時にたくさんのゲストの方を目にすると、「今日もこんなに多くの人が遊びに来てくださっている」と嬉しくなります。また、ショーが終わるたびにものすごい拍手喝采が起こるので「このショーを通して、これだけ多くの人の思い出づくりに貢献できたんだ」と実感できます。
新人研修で「どうして入社したのか」「どんな社員になりたいか」等について話し合う機会がありました。その時に、ある同期が「私たちの仕事は心のインフラ事業だよね」と発言したことが今でも心に残っています。私もその通りだと思いました。ゲストの皆さんは来る前からテーマパークで遊ぶ日を心待ちにし、当日は全力で楽しんでたくさんの思い出をつくり、帰った後も「楽しかったな。今日からまた頑張ろう」と、テーマパークでの思い出を日常の糧、明日への活力にしています。皆さんの心の元気を支える、かけがえのないものを提供している仕事に、日々やりがいと幸せを感じています。

施設訪問で出会ったきらきらした表情を忘れてはいけない。

入社して3年目にテーマパーク外のショーを運営する組織に異動になり、地方の福祉施設や病院にキャラクターが出向き、テーマパークで過ごす雰囲気を感じていただく業務に携わりました。
この業務を通して、テーマパーク事業がゲストにお届けしている価値を改めて実感しました。「昨日までは全然元気がなかったのに、今日はすごい元気だね」と言われているお子さんや、音楽に合わせて手拍子をする高齢者の方。生き生きとした笑顔を見せる皆さんの姿に、「これだけのパワーを与えられる仕事をしているんだ」と身の引き締まる思いがしました。
私にとっては日常の業務として取り組んでいることが、周りの人たちにとってはとても貴重な非日常であることを再認識し、これからも真摯に取り組もうと強く思ったことを覚えています。あの時に見た、皆さんのきらきらとした表情は忘れることはありません。施設訪問以外にも祭りのパレードやウエディングセレモニーなど様々な形態のショーを運営したことで、視野も広がりました。
これまでの経験を活かし、ゲストにとっても、キャストにとっても素晴らしいショーを提供していきたいです。