Vol.01
「普通」に疑問を投げかけ、
すべての人が自分らしく
生きられる世の中を目指す。
仁木 優花さん
社会福祉学科
徳島県立富岡東高等学校を卒業後、人とのつながりや人を支援することに興味を持ち、人間福祉学部 社会福祉学科へ進学。人間の多様性などについて学びを深め、現在はトラウマ学のゼミに所属。課外活動ではKG CLUB(入学センター公認学生団体)の代表も務める。
入学して変わった「福祉」へのイメージ。福祉とはすべての人の幸せを追求すること。
関西学院大学を志望したきっかけは、オープンキャンパスです。美しい校舎はもちろん、充実した施設・設備や、活気溢れる運営スタッフの学生の皆さんの雰囲気に強く惹かれました。人と深く関わりサポートすることに興味があったため、人間福祉学部への進学を決意しました。
入学当時は、福祉と言えば高齢者や障害者のケアといった特定の領域を対象とした支援をイメージしていましたが、実際に学んでみるとイメージは一変。福祉はすべての人を対象とするものだと分かりました。具体的には、医療の視点では患者さんの「症状をケア」するのに対し、福祉の視点では「その人自身」と向き合って、強みを引き出し、その人の生活のあらゆる側面における幸せのため、多面的・側面的に支えるといったイメージです。このような福祉の考え方を得て、これまでは「当たり前」と捉え気に留めなかったことに対し、問題意識を持てるようになりました。「普通」に疑問を投げかけ、無意識のうちに社会に存在する不平等・不自由に気づくことが、誰もが自分らしく、幸せに生きられる社会を実現する一歩につながると感じます。
弱い立場を作り出す社会構造を変える福祉の意識。
人間福祉学部での学びを通して社会を多角的に捉えるようになり、社会構造へ目を向け、疑問を持つ意識が根付きました。特に、「障害者はその人自身に障害があるのではなく、社会の在り方に障害がある」という考えを得たのは大きかったです。実生活の中でこのことを実感したのが、少し混み合った電車に乗っていた時のこと。車いすの方が乗車されるために、スペースを空けることに対して文句を言う人が少なくなかったのです。授業を通して違和感を覚えたような、社会が生み出す偏った差別意識が目の前で如実に現れたその場面に、愕然としました。社会全体を変えることは難しいですが、まず多くの人が福祉の意識を持つことで、より良い世の中へ変化していくのではないでしょうか。私自身も少しずつですが、周囲の人に働きかけるようにしています。
福祉の意識が根底にあり、温かい雰囲気が漂う人間福祉学部。真正面から向き合い、自分の存在を受け入れてくれるような学生の在り方が印象的です。また、先生方や実践教育支援室スタッフの方々のサポートも手厚く、勉強のことはもちろん、将来のことまで親身に相談にのっていただけます。
発言や行動の背景に目を向けることで、相手を理解するトラウマ学のゼミ。
授業で最も印象に残っているのは、1年生の秋に履修した「人間多様性論」。マイノリティや社会の構造的に弱い立場に置かれる人たちに焦点を当て、多様性を理解すると同時に、その人たちが置かれる状況や関わりについて学びを深めます。実際に、障害のある方やLGBTQ+の方のお話を伺う機会もあり、自分の価値観が覆るような感覚が何度もありました。
現在、刺激を受けているのが、池埜先生のトラウマ学のゼミです。文献のリーディングやディスカッションなどを通して、多様なトラウマに関するトピックについて探究します。なかでも、幼少期の発達過程が人生全般に及ぼす影響の大きさについて、学びを深めてきました。トラウマ学を学ぶことは対人援助に留まらず、目の前の人の発言や行動の背景に目を向け、相手を理解することにつながります。また、トラウマは決して一時的なものではなく、人生につきまとう長期的な傷となるもの、人との関係性の中で増幅しうるものです。こうした観点から、トラウマ学はすべての人が学ぶべき学問であると強く感じています。
いきいきと活動する姿を通じて、関学の魅力を発信する。
福祉の学びを深める一方で、学業以外ではKG CLUB(入学センター公認学生団体)での活動に打ち込んでいます。活動内容は、オープンキャンパスや、高校生・保護者を対象としたキャンパスツアー・講演などを通して、関学の魅力を発信すること。高校生の頃に参加したオープンキャンパスで出会ったKG CLUBの先輩たちに憧れ、入学前から入部を決意していました。2021年の秋から代表を務めており、現在約200名の団体を統括しています。苦労したのは2022年度の新入部員の獲得。コロナ禍で約2年、新入生歓迎会の実施が制限されていたため対面開催の経験がなく、ほぼ一から企画する必要がありました。そのような状況の中で大切にしていたのは、他の団体・サークルとの差別化を図りKG CLUBの活動・雰囲気を知ってもらうための企画について意見を出し合うこと、連絡の仕方やミーティングの実施方法を工夫し、メンバー全員に活動を楽しんでもらえる環境を作ること。その結果、団体全体が活気づき、2022年夏のオープンキャンパスは無事成功。いきいきと活動するメンバーの姿を見たり、終了後のフィードバックで初めて運営に参加した新入生から「KG CLUBに入って良かった」という声が聞けたりした時には大きな達成感とやりがいを得られました。
人間福祉学部での学びを生かし、生きづらさを抱える人たちの支えになりたい。
今後の大学生活での目標は、ゼミでの研究にじっくり取り組み、思いを込めた卒業論文を執筆すること。現時点では、自分自身が感じてきた生きづらさの正体をテーマにしたいと考えています。何故生きづらさを感じるのか、その原因は社会構造にあるのか、自分の中に内在しているのかといったことを紐解くことが目標です。
将来は、研究で得た知識を生かし、生きづらさを抱えるさまざまな人たちの支えになりたいと思います。大きな夢は自助グループの設立と、自身の体験や社会の在り方への提言を本にして社会に発信すること。すべての人にとって生きやすい社会の実現を目指していきたいです。
福祉は専門職がすべてではありません。福祉を学ぶことは社会の中で多様な困難を抱える人たちに対する理解はもちろん、自分自身が抱えてきた違和感の正体への気づきにもつながると感じます。人間福祉学部は、人とのつながりの中で人生を歩んでいくために必要不可欠な知見をたくさん吸収できる場所です。受験生の皆さんもここで一緒に学び、成長してみませんか?