十人十福

Vol.09

寄附講座で「その方らしさ」に
寄り添う大切さを学び
3年間の介護現場での
経験を原点に
総合職へとキャリアチェンジ。

村田 紗織里さん

株式会社ベネッセスタイルケア

社会福祉学科 2019年卒業

自身の経験から、人の心に寄り添える人を目指して人間福祉学部社会福祉学科に進学。大和三重教授のゼミで高齢者福祉について学び、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の運営などシニアビジネスを展開する株式会社ベネッセスタイルケアに入社。介護職から総合職へとキャリアチェンジに挑み、5年目の現在は事業本部スタッフとしてホームの運営サポート等に従事している。

#ゼミ#仕事#福祉

人の心に寄り添い、人を支える仕事がしたい。

思春期特有の悩みを抱えていた中学・高校時代、家族や友達がそばにいて「自分らしさ」を見てくれる安心感、自分らしくいられる時間が心の支えになりました。その経験から、人の心に寄り添う存在の大きさに気付かされ、将来は誰かの心の支えになる仕事がしたいと福祉分野に興味を持ち、人を支える分野を広く学べる人間福祉学部社会福祉学科に入学しました。
ゼミでは高齢者福祉を専門とする大和三重先生の指導の下で、高齢者の心理や高齢者介護の考え方などについて学びました。大学2年生の「ソーシャルワーク実習」で高齢者施設を訪ねた際に、入居されている方のご性格や習慣、これまで歩んでこられた背景などを知らない状態でその方に寄り添おうとすること、関係性を築くことの難しさを痛感しました。ただ一方で、その方のご性格や習慣、これまでの生活など、時間をかけてその方を知り、一つ一つ関係性を構築し、共に歩む存在になる、福祉専門職の奥深さを感じました。

地域包括ケアの実習で相手の心につながる瞬間を体感。

大学での福祉分野の学びの中で相談援助に興味をもち、大学3年生の夏の約1カ月間の「ソーシャルワーク実習」での実習先には、地域に根差した活動を展開する地域包括支援センターを選びました。相談員の方と一緒に、身寄りのないお年寄りをはじめ、デイサービスの現場やグループホーム、障害者施設などを訪ねました。地域包括支援センターの相談員の方は、一人一人育ってきた環境や置かれている状況が全く違う方を訪ね、それぞれに合わせたお声がけやケアをされていました。訪問先は、さまざまな物があふれる環境の中で暮らしている方や若くして独居で生活保護を受けている方などさまざまで、時にはその訪問を拒絶されながら命の危険も伴うような中へも入っていかれていました。かつて私自身が、私を知ってくれている家族や友達には安心感を得られたように、相手に安心して心を開いてもらうためには、まずはその方たちのことを知ること。相談援助、対人援助では、相手のことを知りたいという気持ち、知ろうとする姿勢がとても大事だと気付かされました。
はじめて目の当たりにする福祉の現場に驚きや戸惑いもありましたが、対人援助の奥深さを実際に見て感じることのできる貴重な経験となりました。

「受講生」から「社員」へ、寄附講座で母校と連携。

ベネッセスタイルケアでは2018年度から、人間福祉学部の授業として「日本のシニアビジネスの課題と展望」という寄附講座を実施しており、その1期生として大学3年生の春学期に全14回を受講しました。福祉をビジネスとして展開している企業の視点や経営を学ぶ貴重な機会となり、同時に「その方らしさに、深く寄りそう。」という理念の下、ご入居者様一人一人の思いに寄り添ったサービスを展開していることを学びました。最終的には学生がグループに分かれて新しいビジネスを考え、プレゼンテーションをしました。私たちは、「シニアビジネス×大学」、シニアビジネスの「見える化」に焦点をあて、大学食堂の場を利用し、おばあちゃんの手作り料理の提供・地域の憩いの場ともなる「おばあちゃん食堂」を提案しました。最終プレゼンではベネッセスタイルケア社長賞を頂きました。
寄附講座やその後の就職活動のイベントを通して、ご入居者様の「その方らしさ」、そして社員一人一人の「らしさ」にも寄り添ってくれると感じ、「私らしく」仕事ができ成長できると思いベネッセスタイルケアに入社を決めました。新卒3年目からは社員として寄附講座に携わり、本年度は「プロフェッショナルな介護」をテーマに授業を1コマ担当しました。社員として授業に携わる中で、「数年前までは学生側にいたんだな」と不思議な感覚になりました。関学卒の後輩社員2人と共に大和先生の研究室を訪れ、先生から「立派になったね」との言葉を頂き感慨深いものがありました。

さまざまな挑戦を前向きに楽しむ力が付いた。

入社にあたり、この会社だからこそできるキャリアアップを考えました。3年間は介護職として現場でしっかりと学び介護福祉士の資格を取り、その間にもさまざまなチャレンジをして、総合職になるという目標を立てました。入社後、豊中市の有料老人ホームで介護職1年目、社会人1年目として日々奮闘しながら、ご入居者様と接する時間の楽しさ・やりがい、介護の魅力・奥深さを感じました。2年目になる時に、新規立ち上げ施設のオープニングスタッフの社内公募に手を挙げ異動。3年目には介護職の傍ら社内公募による採用活動にも携わりました。その間、上司との面談等で総合職へのキャリアチェンジの希望を伝えていたところ、4年目に一つの目標だった総合職へのキャリアチェンジをすることができました。
新卒5年目となる今年は西日本・北陸エリア事業本部の本部スタッフとして、ホーム・エリアの運営をサポートしています。この5年間における新しい挑戦や企画・運営などを通して、何事も自ら楽しむ力が身につきました。 さまざまな挑戦をする中で、大変だな、しんどいなと思うことでも「ご入居者様のために」「ホームやエリアのために」と思うと頑張ることができます。さまざまな挑戦・キャリアチェンジの機会があることに感謝し、自ら仕事を楽しむことが私の軸となっています。これからもご入居者様のQOL(Quality Of Life)向上のために、より良いホームづくり、暮らしづくりをサポートし続けたいと思っています。

大事なのは「その方らしさ」へ寄り添うこと。

現在は総合職として、ホームやエリアのサポートをしていますが、全ての原点は介護の現場での経験、「ご入居者様のために」。この思いで日々仕事をしています。
介護の現場でご入居者様と接する中で、ご高齢になられても「誰かのために」「何かのために」生き続けたい、これまで母としてや父として、また経営者としてなど、「誰かのために」「何かのために」生活されていたその思いに深く寄り添うことがとても大切だと感じました。また、誰かのために何かのために役に立てた先には「ありがとう」という思いや言葉があり、私にとって介護職の一番のやりがいはご入居者様からいただく「ありがとう」だと感じています。その方の心や思いに寄り添える存在に少しでもなれたと感じる瞬間、「ありがとう」との言葉を頂く瞬間が一番のやりがいにつながっています。
私は自身の経験から「人の心に寄り添い、人を支える仕事がしたい」と思い、福祉・介護の分野を選び、大学での学び・出会いを通してベネッセスタイルケアに入社し、今も「私らしく」仕事ができています。家族や友人など「私らしさ」を見てくれる人の存在が心の支えになり、福祉を学びたい、介護事業を通して人の心に寄り添い、人を支える存在になりたい、との思いに繋がり、そしてベネッセスタイルケアでの経験が今の私につながっています。これからも私らしく「その方らしさに、深く寄りそう。」の実現のため、さまざまな挑戦を続けたいと思っています。