十人十福

Vol.08

女子ラクロス部の主将経験を生かし、チームで成果を追い求める。

長村 由紀乃さん

サントリーホールディングス株式会社

人間科学科 2019年卒業

保健体育科の教員を目指して人間科学科に入学。女子ラクロス部で活動し、3年生からは主将も務める。自分の新たな可能性を探るため進路を変え、サントリーホールディングス株式会社に入社。現在は中四国支社営業本部企画部に在籍し、売り上げ目標値の設定をはじめ、販売方法や課題解決案の検討・推進などに従事する。

#ゼミ#部活動#仕事

当たり前だった身近な問題を深く掘り下げる

小学生の時から地元、西宮にある関西学院大学に行きたいと思っていました。進む学部・学科については、小さい頃からの夢であった体育の先生の免許が取れるということで、人間福祉学部人間科学科を選びました。
印象に残っている授業は「死生学」と「障害者スポーツ論」です。「死生学」では、死は否定すべきものではなく、受け入れることで積極的な生き方につながるものだと学びました。いずれは死が待っているからこそ今を大事に生きよう、今一緒に過ごしてくれている人たちを大切にしようと思えるようになり、今の環境は当たり前ではないと実感しました。「障害者スポーツ論」も同様で、「筋肉がこういう状態だからこういう動きができる」であったり、逆に「筋肉がこういう状態だから動かない」であったりと、今まで当然と思っていた体の動きには必ず根拠があることを教わりました。自分にとって当たり前だと思っていた身近なことを深く掘り下げるのは興味深く、知りに行かないと見えてこない部分があることにも気付かされました。体育会の女子ラクロス部に所属していたのでトレーニングにも役立ちました。

溝畑先生の応援もあり部活とゼミを両立

「子どもの身体特性および運動能力と運動指導について」を研究テーマとする溝畑潤教授のゼミを選んだ理由は、体育の先生に直結する内容であるのはもちろん、溝畑先生が部活動と学業の両立に賛同してくださる方だと聞いたからでした。1年生の時から、授業以外の時間は全て女子ラクロス部の活動に充て、主将に立候補するほど注力していたので、部活動と学業を両立できるゼミがいいと思い選択しました。
溝畑先生は「ゼミの仲間を大切にしよう」といつもおっしゃっていました。「互いに思いやることでみんなの心が安定する。心の在り方がパフォーマンスにもつながる」と教えてくださいました。また、ゼミ生同士の関係性を良くするため、ゼミ活動に頻繁にアクティビティーなどを取り入れて、体を動かしながら一緒に取り組む機会を与えてくださったことも印象に残っています。
女子ラクロス部での悩みも聞いていただきました。主将として総勢80人を超える部員全員の心を一つにするのは難しいと感じていた時には「独りでただがむしゃらに突っ走るのではなく、仲間と一緒に頑張るんだよ」とアドバイスを受けました。そこでB4サイズの紙に各自の目標を細かく書いてもらい全員で共有したところ、みんな日本一になりたい、試合に出てチームに貢献したいと考えていて、その思いの強さが違うだけでした。それぞれの目標を言葉にすることで思いがより強くなり、それを仲間と共有したことで、励まし合える、フォローし合える組織になりました。卒業研究のテーマも「日本一を目指すチームマネジメントについて」。強いチームをつくり、日本一を取りたかったので、学科で学ぶ人間理解にも触れつつスポーツをする上での組織の部分にフォーカスしました。

自分の可能性を試すため一般企業に就職

教職免許取得に必要な単位を全て取り終え、後は教育実習を残すのみという時期に、このまま体育の教員になるのか、それとも一般企業に就職する方がいいのか、迷いが生じました。時期的に重なるので、教育実習と就職活動を同時に行うことは難しく、どちらを取るか悩んでいた時、女子ラクロス部の2つ上の先輩が「体育の先生になるのも長村らしくていいと思うけど、もっといろいろな可能性が長村にはあるんじゃない?」と言ってくださって、自分のいろいろな可能性を試したくなりました。一般企業に入った後にやはり先生になりたいと思ったらそこからやり直せばいいと思い、就職活動にシフトしました。
その先輩が「サントリーは多様なフィールドがある会社。いろいろな可能性を試すことができるのでは」と勧めてくださったこともあり、同社にエントリー。ご縁があり、入社することができました。

型にとらわれることなく柔軟な発想で企画

最初は中国四国広域営業部に配属され、中四国エリアのスーパーマーケットにサントリーの酒類全般を販売する営業担当として従事しました。昨年の9月、中四国営業本部企画部に異動となり、今は、担当するカテゴリーの売り上げ目標値を設定したり、販売方法や課題解決法を営業部隊に提案したりする仕事をしています。
担当カテゴリーはチューハイ、ハイボール缶、ワイン缶、ジンやウオッカなどのスピリッツと広範囲に及びます。扱っている商品が多いので、販売方法を考えるにしても、例えば商品単独で、あるいはカテゴリーでまとめて等、さまざまな軸で切り取って提案ができます。コロナ禍には、消費者の皆さんに少しでも明るい気持ちになってもらえるよう、楽しい雰囲気の売り場やキャンペーンを提案しました。型にとらわれることなく、柔軟な発想をすることができていますし、会社もそれを受け入れてくれます。やりがいがあって、とても楽しく仕事ができています。

大学での学びを生かしチームの心を一つに

現在の業務では、営業担当約30人を巻き込みながら、チームで頑張っていこうと引っ張っています。全員の向いている方向やビジョンを一つにするため、一人一人と月に1回30分は対面で打ち合わせをし、目標値や販売方法を共有しています。1対1で話すことによって、彼らが悩んでいることや、もっとこうしたいといった要望が見えてきますし、熱意を感じることもできます。人数も多く時間はかかりますが、チームの結束を強める上で絶対に必要なことだと思っています。女子ラクロス部の主将として悩んだ日々や溝畑先生の「仲間を大切に」という教えが今に生きていると痛感します。
「死生学」や「障害者スポーツ論」など、人間科学科での授業を通じて「今ある環境は当たり前じゃない。死や障害など自分の身近でありながら知らないことがこの世の中にはたくさんあり、それを自分から知りに行かなければ真の理解にはつながらない」ということに気付かされました。サントリーは、学生時代に先輩がおっしゃった通り、いろいろなことに挑戦できる多様なフィールドがある会社です。だからこそ、自分が見えている範囲だけで考えるのではなく、視野を広げることを心がけています。そして、いずれは全社的に販売方法を考えるマーケティング関連のポジションに就きたいと思っています。また、人の成長に寄り添うことができる人事関係の仕事もやってみたいですね。