十人十福

Vol.05

秋季リーグベストナイン
身体構造への学びを深め、
挑戦の先は体育教員へ。

松尾 悠一郎さん

人間科学科

高校野球の名門、長崎県の海星高校で外野手として活躍し、3年生の夏に甲子園出場を果たす。学業とスポーツ活動との両立を目指し人間福祉学部人間科学科に進学、保健体育の教員免許状(中学・高校)取得にも挑戦している。体育会硬式野球部に所属し、2022年関西学生野球秋季リーグでベストナインに選出された。

#人間科学#課外活動#教職

高校野球の経験を経て、人間福祉学部へ。

高校時代には関西学院大学のことはまったく知らず、野球部の監督から、しっかり勉強できるし保健体育の教員免許も取れる、しかも検討中の進路先よりも野球のレベルは関西の方が高いと薦められて関西学院大学人間福祉学部への進学を決めました。実際に運動生理学やスポーツ心理学、体運動を力学的観点から解析するスポーツバイオメカニクスなど学びたい科目がたくさんありました。中でも一番は人体の構造です。いろいろな測定法を勉強し、体の重心の求め方などを試しました。ただ、その学びを実際に自身の野球に結び付けるのはこれからかなと思っています。
3年生からは、スポーツバイオメカニクスを研究分野とする河鰭一彦教授のゼミに所属しています。先日、野球の「投げる」動作について、筋電計を使ってどこの筋肉を使って投げれば遠くまで飛ばせるのかを実験してみたところ、上腕二頭筋と三頭筋で真逆の数値が出ました。その結果に、投げるためにはどこの筋肉を使ったらいいのだろうかという疑問が湧いてきて、野球の動作に関するテーマで卒業論文に挑戦したいと考えるようになりました。この学問に本当に興味を持った瞬間でした。
順調にいけば、3年生で卒論以外の単位は取り終えますが、トレーニング論など興味深い学問がまだまだあるので履修するつもりです。スポーツ系に関心がある人には絶対にいい学部・学科だと思います。

練習と授業と自学自習、一日の限られた時間を有効に。

教職免許取得を目指しており、昼間は野球、夜は課題学習と、時間を分けることで部活と勉強の両立に努めています。平日でも3時間ほどは図書館で学習時間を取るよう、メリハリをつけて過ごしています。
硬式野球部の部員は200人弱いて、練習は授業スケジュールによって練習時間帯が分けられ、土曜日と日曜日もチーム別に時間を決めています。野球部では、学業をおろそかにすることがないよう授業を優先し、練習は時間割の空き時間に組み込んでいます。私はいずれも8時30分から13時前までで、その後は室内練習場などで自主練習をします。学業と野球を両立させる上で意識しているのは「やるかやらないか」。自分がすべきことを明確にし、一つ一つ集中して取り組んでいます。

また下級生には委縮することなく伸び伸びとプレーしてほしいので、上級生として立ち居振る舞いには気を付けています。なかなか難しいですが、その一つとして、何でもまず上級生から声をかけるようにし、いろいろな人と話しやすい雰囲気をつくるようにしています。そして下級生の意見をしっかりと聞き、価値観を合致させて、春のリーグ戦で優勝できるチームにすることが今の目標です。

「自分で考えて行動すること」が結果につながる。

高校生の頃から、その時々で自分に何が必要なのかを考えて行動するようにしてきました。特に大学野球では、高校の時のように常に監督がいてアドバイスしてくれるわけではなく、どういう練習が効果的かを自分自身で考えながら取り組まなければなりません。どうすれば木製バットに慣れることができるのか、自分のプレースタイルをどのように変えればこのチームで試合に出られるのかなど、常にしっかりと考えることが求められます。考えることを一番大切にしてきた結果、甲子園出場や今年の秋季リーグベストナインにつながったと受け止めています。
物心がついた時にはカラーボールとカラーバットを持って父と公園で遊んでいました。海星高校を選んだのは、長崎では甲子園に一番近い学校だと思ったからです。2年生の県大会は決勝で敗れたので、一年前の悔しさもあって甲子園出場を決めた時の喜びはめちゃくちゃ大きかったです。甲子園球場は、普段の試合では味わえない雰囲気を感じられる所でした。外野手の後ろにも観客がいるのが新鮮で、歓声が360度聞こえてきて鳥肌が立ちました。緊張よりも楽しさが勝っていました。大学でも関関戦などは甲子園球場で試合をしますが、やはりあの時の高揚感は格別でした。

本人提供

九州とはまた異なる関西の空気感。

入学した時から一人暮らしをしています。高校の寮生活でも食事以外は全て自分でやっていたので、あまり苦ではありませんでしたが、料理だけはちょっと苦労しました。今も高校の保健の先生にもらった簡単に作れる料理の本を参考にしたり、SNSの動画を見たりしながら作っています。最近の得意料理は鶏の照り焼きです。他にも肉野菜炒めなど、大体、肉料理になりますね。
関西に来て、さまざまな考え方の人に出会いました。授業のグループワークでも、自分にはないような考えを聞くことができます。関西の人は意見や考えをはっきり、しっかり伝えてくれるのが魅力です。九州にはあまりいないようなタイプ、性格の人たちとも出会えました。野球部にも、学部にも必ずいるのが、何に対してもボケる人と、それに絶対にツッコミを入れる人。関西ならではのこの掛け合いは本当に面白いです。

ゆくゆくは体育教師となって野球の指導を。

教職課程を取ったことで授業数が圧倒的に多くなり、学部の勉強や部活との両立も大変です。体育の教師になりたいと思ったのは、環境的な要因が大きいですね。両親、姉をはじめ親戚にも教師が多く、気付いた時には自分も先生になって野球の指導をしたいと考えていました。たまに小・中学生の時の所属チームで教えたりすると、楽しいなと感じます。高校の教師になり監督として甲子園に出るのも魅力だし、中学校で教えた子が上のステージに行って活躍する姿を見るのも魅力的ですね。やはり高校の時の監督の影響が一番大きいかもしれません。
ただ、大学を卒業してすぐに教師になりたいかというとそうではなく、まずは野球をやれるところまで突き詰めるつもりです。高校時代から、選手として挑戦できるところまで挑戦しようと考えていました。今回ベストナインを取ったことで、もう少し上でもやれる可能性を感じられたので、その気持ちはさらに強くなりました。
常に自分に今求められていることを考え実践することで、目標に向かい続けたいと思っています。